ここでは、据え付けられ、停止している装置を動作させるために行う操作について説明しています。
CIDが付いてない機器はその項を読み飛ばしてください。
1. ガス供給の確認
1.1 キャリアガス
(1)キャリアガスの配管がキャリアガス接続口(下図)と接続されていることを確認します。(キャリアガスには純度99.995 %以上のヘリウムを使用してください。)
(2)キャリアガスのボンベの元栓を開きます。
(3)供給圧力(GC のキャリアガス入口圧力)が300 ~ 980 kPa(約3 ~ 9.8 kgf/cm2)になっていることを確認します。
注記: ボンベの交換などを行った場合は、配管の接続部のガス漏れがないことを確認してください。
1.2CID ガス
(1)CID ガスの配管がCID ガス接続口(前ページの図)と接続されていることを確認します。
(CID ガスには純度99.99 % 以上のアルゴンを使用してください。)
(2)CID ガスのボンベの元栓を開きます。
(3)供給圧力が350 ~ 450 kPa(約3.5 ~ 4.5 kgf/cm2)になっていることを確認します。
注記: ボンベの交換などを行った場合は、配管の接続部のガス漏れがないことを確認してください。
2. ガラスインサートの確認
分析目的に合ったガラスインサートが取り付けられているかどうか、以下の手順で確認します。
(1)インジェクションポートを押さえながら、レバーを反時計回りに回してください。インジェクションポートをゆっくり持ち上げて取り外してください。
注意: ガラスインサートが破損しないように、インジェクションポートは左手でゆっくりと持ち上げてください。
注意: 試料注入口のO リングの設置面を傷つけないように気を付けてください。
(2)ガラスインサートをピンセットなどで持ち上げて分析目的に合ったガラスインサートであることを確認します。(次図参照)シリカウールの位置、汚れなども確認してください。
(3)汚れなどある場合は新しいものに交換するかシリカウールを取り除いて洗浄してください。シリカウールは適量(スプリット用:約10 mg、スプリットレス用:約4 mg)を詰めてください。
上図に各インサートでの推奨位置を示します。
(4)以下の手順で、ガラスインサートとO リングを取り付けます。
1. O リングをガラスインサートの上から4 mm 位の所で仮止めしてから、気化室にセットします。その時、ガラスインサートを押して、下に当るところで止めてください。これで下図のように、上端から3 mm の位置にO リングがセットされます。
2. インジェクションポートを溝にあわせて取り付けてください。
3. インジェクションポートを押さえながらレバーを時計回りに回してください。
3. キャピラリカラムの取り付け
カラムハンガーの取り付け
カラムハンガーを取り付ける場合は以下の手順でカラムハンガー取付穴に固定してください。
(1)カラムハンガーの上部の幅をせばめて、カラムハンガー取付穴に差込んでください。標準は後ろ側で、2 つのカラムを取り付ける時は前後2 段に取り付けます。
注記: GC-2030 のオプションであるClickTek コネクタは、GCMS NX シリーズでは使用できません。
(1) ベスペルフェルールとナットにキャピラリカラムを通します(次図参照)。
(2)工具キット(オプション)に付属のカラム取付治具(INJ 用)(P/N 225-01453-95)にキャピラリカラムの先端を差し込み、パイプの端から1 cm 程度キャピラリカラムを出します。この位置でナットを締めて、キャピラリカラムの出ている部分をカットしてください。
(3)この状態で注記内の図のようにナット締めした部分のキャピラリカラムにテープで目印をつけます。
(4)カラム切断治具から目印が動かないようにキャピラリカラムを取り外し、アセトンでキャピラリカラムを軽くふいたあと、INJ 側に挿入しナットを締めます。(フェルール新品時は手で締めてからスパナで1 回転、再取付時は手で締めてからスパナで20° ~ 40° 回して締めつけてください。
(5)目印のテープを取り外します。
ベスペルフェルール:
部品番号: 670-15003-03(0.25 mm カラム用)(オプション)
部品番号: 670-15003-04(0.32 mm カラム用)(オプション)
部品番号: 670-15003-07(0.53 mm カラム用)(オプション)
カラム取付治具(INJ 用): 部品番号: 225-01453-95(オプション)
ナット: 部品番号: 670-11009(オプション)
キャピラリカラムカッタ: 部品番号: 221-50595-91(オプション)
注記: ベスペルフェルールはグラファイトフェルールのような治具による整形はできませんので目印のためにはテープなどをお使いください。目印のためのテープは一般の事務用のセロハンテープなどが使用できます。取付後は忘れずテープを取り外してください。テープの代わりにクリーム色のセプタムも目印に使用できます。
MS 側の取り付け
(1)ベスペルフェルールとナットにキャピラリカラムを通します。(次図参照)
(2)次図上のように、工具キット(オプション)に付属のカラム取付治具MS 用(P/N 225-01453-94)にキャピラリカラムの先端を差し込み、パイプの端から1 cm 程度キャピラリカラムを出します。この位置でナットを締めて、キャピラリカラムの出ている部分をカットしてください。
(3)この状態で注記内の図のようにナット締めした部分のキャピラリカラムにテープで目印を付けます。
(4)カラム取付治具から目印が動かないようにキャピラリカラムを取り外し、アセトンでキャピラリカラムをかるく拭いたあと、GC/MS インタフェースに挿入し、ナットを締めます。(フェルール新品時は手で締めてからスパナで1 回転、再取付時は手で締めてからスパナで20° ~ 40° 回して締めつけてください。)
(5)目印のテープを取り外します。
注記: MS 側の取り付けには、バックグランドを減らすために、必ずベスペルフェルールを使用してください。また、このベスペルフェルールはグラファイトフェルールのような治具による整形はできませんので目印のためにはテープなどをお使いください。目印のためのテープは一般の事務用のセロハンテープなどが使用できます。取付後は忘れずテープを取り外してください。テープの代わりにクリーム色のセプタムも目印に使用できます。
注記: キャピラリカラム取付用のナットSSNE16/012 の保守のために、工具キット(オプション)に付属の平行ピンが用意されています。
この平行ピンはキャピラリカラムを接続する時に使用するナットSSNE16/012 を再使用する際、ナットの中にくい込んだフェルールを取り除くために使用します(インタフェースねじ部の磨耗を防止するために、再利用は2 ~3 回程度にしてください)。
4. 電源の投入
(1)装置の電源が接続されているブレーカーをON にし、GC 部の主電源スイッチをON にします。
(2)ディスプレイ、プリンタ、PC の電源をそれぞれON にします。Windows が起動します。
(3)MS 部の電源スイッチをON にしてください。MS 部前面の3 つのLED が一瞬点灯したあと、一番上のPOWER LED が点灯します。
5. GCMSsolution の起動
(1)デスクトップ上の[GCMS 分析]アイコンをダブルクリックします。
[ログイン]画面が開きます。
(2)使用するユーザー名と、それに対応するパスワードを入力します。(初めての起動の場合は、デフォルトのユーザー名「Admin」、パスワードは空白のままにしてください。)
入力が終わったら、[OK]ボタンをクリックします。
[GCMS 分析]プログラムが起動します。
6. 真空系の起動
注意: 冬季などで、長時間装置を停止しており、かつ、部屋の温度が暖房されておらず冷え込んでいる状態では、ロータリーポンプの油の粘度が非常に高くなっています。
この状態で起動メニューを立ち上げ、ロータリーポンプを動作させようとすると、ロータリーポンプのモーターに過負荷がかかり、装置背面の電源イッチ兼ブレーカが切れる可能性があります。このような状態のときは、部屋を暖房して、ロータリーポンプ本体の温度が装置の設置環境温度(最低温度18 ℃)以上になるまで待ってから起動するようにしてください。
注意: 真空起動前には前扉のノブが緩んでいないことを確認してください。
注意: 真空系の始動後は、真空ハウジングの前扉のノブを増し締めしないでください。後で停止したときにノブが回らなくなる可能性があります。
注意: 内径の大きいカラムに交換した場合、大量のキャリアガスがMS に流入して真空起動が完了できないことがあります。真空系を起動する前に、キャリアガス圧力を調節して、カラム流量が10 mL/min(CI/NCI イオン源の場合は5 mL/min 以下)になるようにしてください。
(1)アシスタントバーの[起動・停止]アイコンをクリックします。
[起動・停止]画面が開きます。
(2)[オプション]をクリックします。
[オプション]画面が開きます。
(3)実施する項目を設定します。
各項目は以下を参考にしてください。
真空系自動復帰: 停電などで装置が止まった後、通電を開始した時に真空系を自動で起動するかどうかを設定します。ただし、停電によって装置が止まる前に、すでに真空系が止まっていた場合は、設定に関わらず起動しません。
真空漏れチェック: 真空系の自動起動が完了後、窒素(m/z 28)と水(m/z 18)の強度を比較することで、真空漏れのチェックを行うことができます。前処理装置によって強度比の目安が異なります。
注記: イオン源がEI で、キャリアガスにHe を使用するときだけ設定できます。それ以外のときは、「
真空漏れチェック方法」を参照し、真空漏れのチェックを行ってください。
以下の目安に値を設定します。
・AOC-20、AOC-5000/6000:強度比2
・その他の前処理装置:強度比5
注記: アドバンスドフローテクノロジーシステム(検出器分岐システムやバックフラッシュ等)では、通常のシステムと比較してm/z 28 の強度が大きくなることがあるため、本機能による漏れチェックは推奨しません。
安定化待ち: 真空系の起動後、MS の真空度を安定化させるため、定性分析であれば約2 時間、定量分析であれば約4 時間待ってからオートチューニングを行います。ここでは、安定のための待ち時間を設定することができます。
(4)[OK]をクリックします。
[オプション]画面が閉じます。
(5)[自動起動]ボタンをクリックします。
[自動起動]インジケータが緑色に点滅をはじめ、真空系の起動をはじめます。順番に各部の起動を行い、真空系の準備ができたら[起動完了]と表示されます。
真空系の自動起動が完了した後、真空漏れチェックと安定化待ちを自動で実施します。
(6)結果を確認します。
注記: 真空漏れチェックの結果が不合格のときは、空気の漏れ込みのおそれがあります。「
真空漏れチェック方法」を参照し、漏れ込みの箇所を探してください。
注記: 真空を起動後に、一時的に真空度が十分高くないため、「真空度が低下しました。保護の為イオンゲージをOFF します。」のメッセージが表示される場合があります。その際は、1 時間程度後に[装置モニタ詳細]画面を開き、[高真空(IG 真空度)]の( イオンゲージ) ボタンをクリックしてください。エラーが表示されなければ、そのままご使用いただけます。
(7)[閉じる]ボタンをクリックし、[起動・停止]画面を閉じます。