溶離液中に無機イオンなどの不純物が含まれていることが疑われます。
解説:
インジェクタが汚染されている場合は,注入したのが溶離液であろうと精製水であろうと,ピークは出るものと予想されます。精製水を注入したときにのみピークが出るとすれば,溶離液との組成の差が引き金になっていると考えられるため,むしろ溶離液中に何らかの不純物が含まれている懸念が強くなります。
実際にあった例を紹介すると,ノンサプレッサ方式の陰イオン分析でp-ヒドロキシ安息香酸を含む溶離液を使った際に,精製水の注入により硫酸イオンの位置にピークが認められたというケースがあります。調査した結果,p-ヒドロキシ安息香酸の試薬がメーカーによって純度が異なり,一部の試薬メーカーのものを使用したときにのみ上述のような現象が発生することがわかりました。
このように,溶離液中に不純物が含まれていると,それが原因となって正または負のピークが出現することがあります。