逆浸透やイオン交換などを組み合わせて精製した超純水またはそれに準じる精製水を,フレッシュな状態で使用することをお勧めします。
溶離液調製に用いる水の中にイオンが混入していると,ベースラインノイズの増大やドリフトの発生,ゴーストピークやマイナスピークの出現,定量精度の悪化といった現象が現れることがあるので注意が必要です。
溶離液や標準溶液などの調製に用いる水の規格については,JIS K 0557「用水・排水の試験に用いる水」が参考になります。この中で,水はその純度に応じてA1 からA4 までの4 つの種別に分けられていますが,イオンクロマトにおいては少なくともA3 (試薬類の調製,微量成分の試験などに用いられるグレード) レベルの水を用いるようにしてください。また,イオン性物質を測定するという性質上,比抵抗18 MΩ・cm 以上を示すような残存イオン量の低いイオン交換水の使用を推奨します。
このような水を作るためには,相応の能力を持った精製水製造装置が必要です。もしくは,試薬メーカーから液体クロマトグラフィー用蒸留水を購入して使用することもできます。
精製水製造装置を導入する際には,「逆浸透とイオン交換」「イオン交換と蒸留」など,複数の精製過程を有する機種の中から選択することをお勧めします。その上で,必要とされる比抵抗値が安定して得られること,適切な製造能力 (スピード) を有すること,メンテナンスが簡便でコストが適切であることなどを考慮して選択してください。
なお,水道水を原水として用いている場合,その中に含まれる無機・有機物量によっては精製水製造装置の消耗品が早く劣化したり精製水の純度が低くなったりすることもあります。設置時にメーカーの方とよく相談するとよいでしょう。