通常分析ではどちらでも構いませんが,取り扱いが楽なPEEK 樹脂製がお勧めです。
古くからHPLC では耐圧性,耐久性,加工のしやすさ,耐薬品性などからステンレス製配管が用いられて来ましたが,最近では強度に優れ,取り扱いの簡便なPEEK (ポリエーテルエーテルケトン)樹脂を用いた配管部品が広く普及しています。イオンクロマトでは「イオンを分析する」ことから,配管に金属が使われること自体敬遠される傾向があるようです。しかし,現実的にはHPLC に使用されるステンレスは耐食性に優れたものなので,イオンクロマトに使用しても問題はありません。使いやすいものを選んでいただけばよいでしょう。
最近のHPLC は,テトラヒドロフランやクロロホルムなどを多用する装置 (非水系サイズ排除クロマトグラフィー用など) や分取用の装置を除いては,取り扱いの簡便さからPEEK 樹脂の配管が多用されています。イオンクロマトで使用される液体のほとんどが水溶液であることを考えれば,なおさらPEEK 樹脂製の配管部品が適しているといえます。
以上より,取り付けたり外したりする頻度の高いカラム周り,サプレッサ周りを中心に,PEEK樹脂製の配管部品を積極的に使用するのがよいでしょう。あまり負荷圧のかからない箇所については,ふっ素樹脂製のものを使用することもできます。一方,試料溶液が通過しない溶離液送液ポンプについては,接液部の材質よりも脈動が小さいことや流量が正確で一定であることなどの「基本性能」の方がよほど重要といえますから,接液部材質にこだわらず性能の高いものを選びましょう。