それらのイオンに含まれる窒素,りんといった元素の濃度を表現するときに用いられる用語です。
天然水中における塩素やナトリウムといった元素の存在形態は比較的単純で,そのほとんどが塩化物イオン,ナトリウムイオンと考えられます。しかし,窒素は酸素原子や水素原子と結合して硝酸イオン,亜硝酸イオン,アンモニウムイオンなどの形態をとったり,生物体中に取り込まれて有機物になったりと,様々な化学種になります。もちろんりんも同様です。
これら異なる化学種の濃度を比較したり総窒素濃度を求めたりする場合,各化学種に含まれる窒素,りんなどの元素の濃度に換算した値を使うと便利です。例えば,総窒素濃度をペルオキソ二硫酸カリウムによる酸化分解法で,無機態 (硝酸イオン,亜硝酸イオン,アンモニウムイオン) の窒素濃度をイオンクロマトで求めておき,前者の濃度から後者の濃度を差し引くことにより有機態窒素
濃度の概算値を求める,といったことが可能になります。
現状では,例えば硝酸イオンの濃度を「硝酸イオンとして○○mg/L」と表現する場合と,「硝酸態 (性) 窒素として××mg/L」と表現する場合の両方が混在しています。混乱しやすいので,「硝酸態 (性) 窒素」の濃度を表記する場合は「NO3-N」のようにハイフンと元素記号をくっつけることになっています。間違えないようにしましょう。
なお,相互の濃度換算表を示しておきましたので参照してください。