銀結合前処理カートリッジで塩化物イオンを除去する,電気伝導度ではなく亜硝酸イオンのUV 吸収により検出する などの方法があります。
現在市販されている高分離能のカラムを用いれば,両者の濃度比が1,000 対1 程度までなら分離可能のはずです。しかし,それを越える濃度比の場合は何か方法を考えることが必要です。
前処理で塩化物イオンを除去する方法としては,銀イオン結合型陽イオン交換樹脂を充てんしたカートリッジに試料を通すのが一般的です。塩化物イオンは銀イオンと結合してカートリッジ内に沈殿し,効果的に除去できます。なお,この方法では臭化物イオンなどのハロゲン化物イオンもいっしょに除去されてしまいます。
また,亜硝酸イオンをUV 検出器により検出する方法もあります。塩化物イオンはほとんどUV吸収を持ちませんから,選択的な検出が可能です。この方法が使える無機イオンとして,他に硝酸イオン,臭化物イオン,よう化物イオンなどが挙げられます。溶離液にはUV 吸収を持たない炭酸系緩衝液などを用いる必要があることから,サプレッサ方式のイオンクロマトにUV 検出器を直列に接続して使用する例が多いようです。