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  • 公開日時 : 2021/09/10 13:25
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(LC) 高速分析(UHPLC)のための設定

(LC) 高速分析(UHPLC)のための設定
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1. 高速LCモードの設定
  高速LCモード:移動相比率を3分以内に変化させるような高速グラジエント分析で使用します。このモードでは、移動相流量変化ステップの微細化により、高速グラジエント時の流量変化の追従性が向上します。
  « 高速LCモードにおける制限事項 »
    コントロールモードを[高速LC]モードとした場合には、標準モードと比較して下記の制限事項がありますのでご注意ください。
    • 高速LCモードが有効な装置構成
      4液低圧グラジエントモード(LP.GEモード)は、設定にかかわらず標準モードで動作します。
      [コントロールモード]は、SCL-40、CBM-40/40Lite、またはCBM-20A/20Alite(ROMバージョン 1.2以上)をご使用の場合のみ、LabSolutionsから設定できます。CBM-20A/20AliteのROMバージョン 1.1をご使用の場合、コントロールモードはインターネットエクスプローラでCBM-20A/20Aliteにログインして設定してください。
    • タイムプログラムの行数
      標準モードでは、タイムプログラムで設定可能な行数は400行までですが、高速LCモードでは、送液ユニットに関係するコマンドについては320行までしか設定できません。送液ユニットに関するコマンドが320行を超えて設定されていた場合、超えた部分の送液ユニットに関するコマンドは実行されませんのでご注意ください。なお送液ユニットとそれ以外の装置の総計では、標準モードと同じく400行まで設定できます。
    • グラジエントカーブの設定
      グラジエントカーブはB.Curveコマンドで設定を行いますが、高速LCモードでは、B.Curveコマンドの設定値に関わらず、グラジエントカーブは常に直線(リニア)グラジエントで動作します。その他のグラジエントカーブ("0"以外の値)を設定しても、その設定は有効とならず、直線グラジエントで動作しますのでご注意ください。
 
2. 検出器の設定
  検出器レスポンス(時定数)とサンプリング周期
  検出器のデータ採取に関するパラメータとして、レスポンスとサンプリング周期の2つがあり、これらは分析条件に応じて適切に設定する必要があります。
  レスポンスは、データ処理がどれだけ早い検出器信号の変化に応答すべきかを表します。高速分析では通常の分析と比較してピーク形状がシャープに(ピーク幅が狭く)なるため、検出器のレスポンスを高速に(時定数を短く)設定する必要があります。低速のレスポンスで分析すると信号上でピーク幅が広がり、カラムでは分離できているピークがクロマトグラム上では分離されなくなることがあります。一方、レスポンスを高速に設定した場合は、ノイズが時定数の平方根に反比例して増加します。したがって、レスポンスはピーク分離と感度の両面から、適切な値を設定する必要があります。
  基本的には、目的ピークの分離が得られる範囲でできるだけ低速のレスポンスに設定することが必要ですので、分析法開発時には高速のレスポンスで分離を確認した後、分離を損なわない範囲で遅いレスポンスに設定します。
  なお、分離の観点からのレスポンス設定とピーク幅の関係および高速分析で一般的に使用するレスポンスは次のようになります。
  
  例として、高速分析において最も早く溶出するピークの半値幅が1秒程度である場合は、上表からレスポンスの値は0.1 secが妥当ということになります。
  レスポンスを大きくするに従いS/N比は向上しますが、その反面、シャープなピークほど分離度が悪くなります。
  
 
  各レスポンスで分析したときのピークのS/N比(括弧内は20 msecのS/N比を1 としたときの倍率)
  
 
  各レスポンスで分析したときのピーク分離度(括弧内は20 msecの分離度を100%としたときの比率)
  
 
  一方、サンプリング周期は検出器信号を処理する時間間隔ですが、これはピーク面積やピーク高さの再現性に影響します。高速分析ではレスポンスと同様の理由でサンプリング周期を短くする必要がありますが、これを過度に短くすると、分析データのサイズが必要以上に大きくなります。通常は、サンプリング周期としてレスポンス(時定数)と同程度の値を設定してください。
  ※LCsolution/LabSolutions でサンプリングレートを100 ms(初期値)未満に設定したい場合には,環境設定の中で検出器のベースレートも併せて変更する必要があります(PDA 検出器を除く)。
 
3. LCsolution/LabSolutionのメソッド設定
  • 最小ピーク半値幅:Width
    Width は,最小ピーク半値幅を決めるパラメータです。ピーク半値幅(ピーク高さの半分の位置での幅)がWidthの値を大きく下回ると,ノイズと見なされてピーク検出されなくなります。このパラメータについても,最も狭いピークについて半値幅を測定し,その値と同等かやや小さめの数値を設定します。
      
 
      適切なWidth の例
      
    LCsolution およびクロマトパックシリーズにおけるWidth のデフォルト値は5s です。Width は,粒子径 5μm 程度のODS カラムでは4 ~ 5s 程度,粒子径 2μm 前後の超高速LC においては 0.4 ~ 1s 程度に設定しておくのが適切でしょう。
 
  • ピーク検出感度:Slope
    Slope は,ピーク検出感度を決めるパ ラメータです。1 秒あたり何 μV 以上検出信号が増大したらピーク検出を開始す るかを決めます。Slope 値が大きくなりすぎるとピークを検出しにくくなり,逆に小さくしすぎると余計なノイズまで拾ってしまいます。
      
    適切なSlope 値を求めるため,「Slope テスト」というシミュレーション機能が含まれています。これは,ピークの出ていないベースライン領域での最大Slope値、すなわちノイズに起因するSlope 値を自動算出するというものです。なお、Slope テストの結果はWidth の値に左右されますので、Width を確定させてからSlope テストを行いましょう。
    ノイズレベルが大きくなれば、個々のノイズの傾きが大きくなり、適切なSlope 値も大きくなります。超高速LC では検出器の応答速度を小さ目に設定するため、通常のHPLC よりもノイズが大きくなることが多く、Slope の値も大きめに設定しておく必要があります。

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