カラムの耐久性,分離,定量値などに影響が出る場合があるので注意しましょう。
これは様々な要因が絡む難しい問題ですので,それらをひとつずつ考慮して問題がないかどうかをチェックしてからどうするかを決めましょう。
まず,溶離液が水溶液である以上,それに対して試料が完全溶解することが絶対に必要です。あらかじめ試験管などで溶離液と試料とを混合し,二層に分離したり,何かが析出したりしないことを確認しましょう。なお,二層に分離した場合,無機イオンは通常水層側に分配されますので,十分に振とう・抽出してからその水層部をイオンクロマトで分析するという方法も考えられます。
次に,カラムの取扱説明書をよく読んで,有機溶媒への耐久性をチェックしましょう。多くの場合,溶離液に添加してよい溶媒の種類や濃度が記述されておりますので,試料に関してもなるべくその範囲を外れないようにするべきでしょう。
以上のような問題がないようなら,一度試料を注入してクロマトグラムを観察してください。ウォーターディップ (非保持の位置に出現する負または正のピーク) が大きくなって元のベースラインになかなか戻らなかったり,思わぬ位置にピークが出たり,さらにはしばらくの間ベースライン変動が発生したりすることがあります。分析対象イオンの分離・定量に対して妨害がないことを確認しましょう。
最後に,添加回収率試験を行って,分析対象イオンの保持時間が変化しないかどうか,あるいは添加濃度分の面積値の増大があるかどうかをチェックしましょう。